実習風景~その164~
本日は京都寿司アカデミーの寿司教室で、太刀魚の一本おろしから塩焼きまでを実習しました。太刀魚はその名の通り刀のように細長く、銀白色に輝く美しい魚。まな板の上で光を反射するその姿は、まるで工芸品のようです。 捌く際には、骨の位置や身の柔らかさを指先で確かめながら、包丁の角度と力加減を一定に保つことが重要です。特に太刀魚は皮が非常に薄く繊細なため、わずかな力の違いでも仕上がりが変わります。三枚におろした後、軽く塩を当てて余分な水分を引き出し、香ばしく焼き上げました。 焼き上がった太刀魚は外はパリッと香ばしく、中はふっくら。淡白な中にも旨味と甘みが感じられ、塩だけで素材の良さを最大限に味わえます。シンプルな料理ほど、包丁の入れ方、塩の当て方、火加減といった細やかな技術が味を左右する——まさに寿司を学ぶうえで欠かせない感覚を磨く実習となりました。 今日の授業を通して、見た目の美しさだけでなく、素材を“活かす”という職人の心を改めて感じました。京都の伝統と技を受け継ぎながら、一つひとつの動作を丁寧に積み重ねていきたいと思います。